H26年9月「デジタル公民館まっさき」活動の報告

先日行われました「学びを通じた被災地のコミュニティ再生支援事業」(復興庁・文部科学省委託)2014年度9月「デジタル公民館まっさき」活動の報告を掲載します。
 
 
 
 


活動スタッフ

10名 (内 アソシエイト(~34歳)1名、リーダー(35~49歳)5名、シニア(50歳~)4名)

活動場所

大船渡市末崎地区公民館 (大船渡市末崎町)

宿泊場所

「大船渡温泉」(大船渡市末崎町)

活動スケジュール

2014年9月1日(月)~2日(火)

主な活動
9月1日(月)

① 第二回「ごいし民俗誌」勉強会 13:30~16:00
 (講師1名/現地参加者10名/スタッフ参加者10名)
 講  師: 俵木悟 (成城大学准教授/ごいし民俗誌「祈りー祭り行事と信仰」調査・執筆)
 企画協力: 碁石地区復興まちづくり協議会

 2011年度~2013年度の3年間、独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所無形文化遺産部が碁石(ごいし)5地区(旧泊里5部落)を調査し取りまとめた「ごいし民俗誌」を題材に、村の記憶、土地の記憶、海の1年、気仙大工による住まい、祈りと祭りなどのふるさとのあらましをたどり、復興の町づくりを考えた。
 はじめに、俵木先生から「ごいし民俗誌」が制作された経緯を時系列順に説明が行われた。被災や高台移転により、まちの風土・文化・地域コミュニティが変容していくことを危惧して、民俗文化の調査が行われた流れからも、この民俗誌を復興における新しいまちづくりの一助として活用して欲しい旨が述べられた。
 次に、「津波と村」(山口弥一郎氏:昭和18年発行)などを例に、震災や津波等の大災害に関わる民俗学の役割、意味について説明があり、後半では、「ごいし民俗誌」の読み解きとして、泊里地区の熊野神社絵図の解説が行われた。絵図に描かれている内容から、神社と泊里地区の関係、村の祭り、古い地名、また絵図の描かれた時代などまるで謎解きのように次々と解説が行われていく様子に大いに盛り上がった。
 最後に、「ごいし民俗誌」をもとにした今後の民俗調査の取り組みについて参加者との意見交換が行われた。俵木先生からは、すでに書かれている内容に補足するかたちの調査(例えば、旧泊里地区の碁石地区に関してなど)、また、例えば地域の農業など本誌にはまだ書かれていない全く新しいテーマに関する調査、と進め方はそれぞれ考えられるが、焦らず無理の無いかたちで興味を広げていっていただければとの意見だった。


俵木講師コメント:
 私の講演は「『ごいし民俗誌』勉強会」というタイトルではあったが、そもそもは私たちが地元の人たちの話しを聞いて、その教えの一端をまとめたに過ぎない冊子が題材であったから、今回の講演は、生徒としての私が先生である地域の人たちの前で行う口頭試問のようなものだと思ってお話しさせていただいた。勉強になったのは明らかに私の方である。幸い、少いながらもその場に来ていただいた地元の人たちからは概ね悪くないという感想をいただけたので、なんとか及第点をもらえたのだろうと思う。ただし、講演の中でも説明したとおり、この冊子は綿密な計画にもとづいてこのような形になったというよりも、様々な出会いや発見に導かれて、いわば成り行きでこうなったものである。『ごいし民俗誌』は完成品ではなく、このような調査を行った、その足跡くらいのものだと思っている。
 その意味で、講演後のディスカッションで、色々と不足(あれが載っていない、というようなこと)を指摘されたのは、むしろ有難いことだった。さらに、これを碁石地区の人びとが自分たちでバージョンアップさせていってくれることをその場で表明してくれたのは、本当に心強いことであった。まだまだ話しを聞いていない人がいるし、聞いていないことがある。地元の人たちが自分たちでそれを掘り起こしてくれれば、そのきっかけになったということだけでもこの冊子を作成した意味が大いにあったと言えるだろう。ただ、あまり無理をされないように。はじめから成果を追わないように、できればお願いしたい。自分たちの過去の生活を聞いたり話したりするのを楽しむ、というスタンスを忘れないでやっていただけたらと思う。
 講演そのものとしては、調査の過程でたいへんお世話になった方々が集まってくれて嬉しかったが、もっと多くの人、例えば私たちが話しを聞かなかった人たちなども参加してくれればよかったと思う。せめて碁石地区内で開催できたらという思いはある。講演の翌日に一人で碁石地区に足を運んだが、そのとき会った何人かの人は、この講演のことを知らない様子であった。こういった活動やその成果を、インターネットとかソーシャルメディアとかいうカタカナ言葉と縁の薄い人たちにどうやって届けるかを、もっと真剣に考えなければいけないと感じた。

② 「絆づくりと地域を守る消防団」 18:30~21:00
 講師:鎌田修広(株式会社タフ・ジャパン代表取締役 / 元横浜市消防訓練センター体育教官/総務省消防庁消防大学校講師)
 企画協力:大船渡市消防団第4分団

 消防団・防火婦人クラブを中心に総勢34名の参加者が集まった。はじめに、鎌田教官からは、初対面の人同士が共同作業を行うときのアイスブレイクの重要性が述べられた。拳をぶつけあうことで、講師と参加者との緊張を解きほぐしが行われた。また、絵描き担当者だけ目隠しで行う”グループお絵かき”が行われた。これは、絵描き担当者は周りからの仲間の声を絶対的に信用しなくては作業ができない。緊急時色々な人が集まりその中で、急遽グループを作らなければいけないことも多い。その中での、仲間との信頼関係が共同作業では大切であると説明された。
 また、気持ちと体の関係についても事例が挙げられた。特に、ポジティブな考えのときは、ネガティブな考えに支配されているときに比べ、体の力が入りやすいとの説が述べられた。しかし、ポジティブな気持ちだけだと、力みすぎることもあるので、現場を客観視する冷静な目の大切さを併せ持つことの重要とのことだ。 本プログラムでは、実際にからだを動かすことで、これら解説を実感として学ぶことに重きをおいて進められた。気持ちの持ち方でいつも以上の力を引き出す考え方や、冷静でやる気に満ちた状態に自身を置くことの大切さに、参加者も興味を引き寄せられていた。
 後半には、団員減少に対応すべく各地の消防団で行われている取り組み事例を紹介され、その上で末崎の消防団の今後の活動を考える上でのきっかけになればとのお話しだった。


鎌田講師コメント:
 デジタル公民館は地域で離れてしまった点と点を線で繋げる拠点(軸)として、地域再生にはかかせない場所だと確信しています。
 前半はまちの未来像をイメージした共同作業等を通じて絆づくり、後半は国の決起集会で発表された団活動を中心に事例の紹介を行い、参加者の方々には、これからより明確に多くの活動を要求される消防団活動が地域防災力の中核をなすよう地域全体でサポートしていただけるような体制ができれば・・・という想いをお話しし、一緒になって考えていただく時間とさせていただきました。 アンケートにもあるように時間等の関係から深い話までには至らなかった点は反省しております。今後も出番をいただけるようであれば、子どもたちを含めた多くの方々に参画していただき、次の具体的なステップに進めるよう内容を検討していきたいと思います。
 いずれにいたしましても、大変貴重な出番をいただきまして、多くの気づきと学びをいただくことができましたことを心より感謝申し上げます。

③まっさき現地視察 16:00~17:30
 (活動スタッフ9名)

公民館周辺の視察を行った。昨年度、講師として講話をお願いした「鮮魚シタボ」の村上勝弘さん、富士子さん夫妻に末崎の近況についてお話を伺った。また、国立公園の碁石岬周辺や5月より遊覧船が再開した穴通し磯周辺の見学を行った。

9月2日(火)

① 現地視察 6:00~7:00
 ((スタッフ参加者9名・現地参加者1名))
 企画協力:碁石小型観光遊覧船組合

碁石小型観光遊覧船組合の碁石海岸穴通船「碁石海岸アドベンチャー」に乗船した。小型船2隻に分乗し、えびす浜→碁石岬→乱曝谷→巾着岩(赤土倉)→穴通磯 と進んでいく。朝方の雨も止み無事出港はできたが、波は高く船は大揺れとなる。リアス式海岸で浅瀬・岩場が多い中、船は高速でその合間を抜けていく。震災の影響で、約50センチ沈下し狭くなった穴通磯の穴くぐりも慎重に行われた。活動スタッフは「ごいし民俗誌」にも登場する切り立った断崖や奇岩が続く三陸海岸有数の景勝地・碁石海岸(三陸復興国立公園)を視察、復興に向けた観光資源の魅力を体験した。


② PCネットよろず相談・Web勉強会 9:00~12:00、13:00~16:00
 (現地参加者8名(内 協議会委員1名)/活動スタッフ13名)

(現地参加者8名/スタッフ参加者9名)
パソコンやインターネットの使い方について個別対応支援活動を行った。ブログやFacebookの活用について説明を行い、参加者間で、ブログやSNSによる情報発信・交流の練習を行った。
ブログのデータ保存、SNS(Facebook)の活用、Wordによるチラシ作成など


③ 第三回大船渡市「デジタル公民館まっさき」運営協議会 10:00~12:00

運営協議会委員8名、オブザーバー1名が出席して、4月~9月の上半期の事業報告と10月以降の活動計画、プログラム内容の意見交換を行なった。次回の全体活動は11月8日(土)9日(日)の末崎町文化祭の日程と重なるため、文化団体の展示イベントや発表会とも連携したデジタル公民館活動にすることとした。また、下半期には子どもを対象にした本の読み聞かせなどのプログラムを企画することとし、女性委員を中心に居場所ハウスとも連携して具体化する方向が確認された。

活動詳細【KK2
活動報告【PDF】


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