復興のまちづくり 観光客誘致に一役

【映像視聴可】
碁石小型観光遊覧船組合 6隻で事業再開
大磯正一朗 組合長に聞く

日 時:7月27日 9:00~11:00
出 演:大磯正一郎さん(碁石小型観光遊覧船組合 組合長)
映 像:復活した碁石海岸穴通船 (5:15)

碁石遊覧船 7月27日8時過ぎ、碁石海岸・えびす浜の遊覧船乗り場を訪問、碁石小型観光遊覧船組合の組合長・大磯正一朗さんの案内でえびす浜‐碁石岬‐乱曝谷‐巾着岩‐穴通し磯‐えびす浜を往復するアドベンチャー航海を取材した。切り立った断崖や奇岩がつづく碁石海岸の風景はまさに絶景。数ある三陸海岸の景勝地でも、大自然の醍醐味を体験できる観光スポットとしてはここが一番であることを実感した。

復活した碁石海岸穴通船 (5:15)



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 東日本大震災震災前の観光遊覧船事業は、養殖漁業を卒業された人たちを中心に9隻で通年営業していたが、これらの遊覧船は3.11の大津波でほとんど流され、再建されない状況にある。

碁石遊覧船

 大船渡市の商業観光課や観光協会から、復興を進めるには観光客の誘致は必須。40人くらいの団体客を受け入れられるよう遊覧船事業を再開して欲しい、とする要望がきていた。そこで生業のために船を再建した養殖漁業者に働きかけて、わかめ、昆布等の養殖漁業が一段落している7月~10 月の期間限定で遊覧船事業を行うことにした。現在の組合員は6事業者6隻(泊里3隻、碁石2隻、赤土倉1隻)、足りなくなるケースには、これに末崎中学校の養殖わかめの体験学習のとき協力している船が加わる。クラブツーリズムなどの旅行業者からの予約や問い合わせが多いとのこと。

 1隻あたりの乗船定員は7人~8人なので40人規模のツアー客に対応できるまでに漕ぎつけ、ゴールデンウィークのテスト運行を経て、7月より営業再開した。

碁石遊覧船 船着き場は大船渡市立博物館下のレストラン岬、碁石崎灯台入口駐車場から続くえびす浜。遊覧船のルートは、えびす浜-穴通し磯往復のアドベンチャーコースと、えびす浜-門ノ浜往復のコースがある。アドベンチャーコースは、えびす浜→碁石岬→乱曝谷→巾着岩→穴通し磯→乱曝谷→雷岩→碁石岬→えびす浜。約30-40分。海からの険しいリアス式海岸の眺めはまさに絶景。穴通し磯では岩のトンネルをくぐり抜ける。また、雷岩の入江に入ると岩穴と波の空圧から生じるドーンという轟音が体験できる。海が荒れうねりが高い場合は、転覆の危険があるので轟音体験は省略される。

碁石遊覧船 また、海の状況でアドベンチャーコースが難しい場合や小さい子供さんに配慮する場合などは、比較的波が穏やかな門ノ浜往復コースを案内している。こちらのコースでは西館城址(末崎城址)の海側にある国の天然記念物「館ケ崎角岩岩脈」(タテガサキカクガンガンミャク:ケイ酸分に富んだ硬い堆積岩。白亜紀の砂岩と頁岩の互層を斜めに貫く岩脈)を見ることができる。

 なお、組合長の大磯正一朗さんは養殖わかめ業では独自の販売ルートを開発。漁協や一般的な商業ルートは避けて、各地の婦人会など市民が組織する自主購入ルートを販路としており、3.11は山形県庄内地方の婦人会を軽トラックで回っていた。地震発生を受けて急遽帰路についたが、陸前高田市の矢作まで来て一泊。ガソリンも底をついたので、そこからは気のみ気のまま徒歩で山道を辿り、泊里に帰りついた。家と作業場は津波で全壊していたが幸い家族(妻・長男夫婦・孫:2人)は全員高台に逃れて無事だった。息子さんは津波で流される家を崖の上から呆然と見ているしかなかった、とか。今は養殖漁業を再開し、被災した作業場は泊里に、自宅は大豆沢の高台に再建している。

(文・写真 丸山 修)

碁石遊覧船碁石遊覧船

穴通し磯 http://www.jfofunato.or.jp/ofunato/anatoosi.html (大船渡市漁業協同組合)
乱曝谷・雷岩 http://www.bunka.pref.iwate.jp/seikatsu/oto/sub03.html (いわての文化情報大辞典)
館ケ崎角岩岩脈 http://www.bunka.pref.iwate.jp/ciss/bunkazai/detail/id/348 (いわての文化情報大辞典)

問合わせ・予約連絡先:碁石海岸小型観光遊覧船組合
           組合長 大磯正一朗(78歳)
電話/FAX: 0192-29-3270
乗船料:大人2,000円、子ども1,000円
営業期間:5月~11月(養殖コンブの最盛期が終わり、養殖わかめが作業が忙しくなる前の期間)
営業時間:9:00~15:00(事前予約による早朝乗船も可能) 乗船時間約40分。
*なお、天候や海の状況によっては中止となる。

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