碁石地区復興まちづくり協議会の大和田東江会長が活動報告


さんりく復興のまちづくり協議会フォーラム

日 時:10月13日(土) 13:00~17:00
場 所:ホテル碁石

 10月の「デジタル公民館まっさき」の現地活動中、ホテル碁石で行われた「三陸復興まちづくり協議会フォーラム―住民主体と協働による未来を開くまちづくり―」(主催:日本都市計画学会・日本地域福祉学会)に、碁石地区復興まちづくり協議会会長で西舘地区公民館館長でもある大和田東江さんが活動報告されると聞き、取材させていただいた。
 大和田会長は碁石地域の地域活動の歴史や経緯、碁石地域の被災状況、避難所運営と被災者支援、仮設住宅入居と地域コミュニティ維持、防災集団移転計画と公営住宅、戸別住宅の要求など復興まちづくり計画、行政への要望等について約30分報告を行った。
 大和田会長は地域の皆さんには常識だが、ボランティアや専門家として外部から来ている人にはなかなか知られていない碁石地域の特性や歴史について、まず触れた。それによると碁石地域は碁石、泊里、三十刈、西舘、山根の5つの部落で構成されており、部落を束ねる組織としては、昔から各公民館長と役員を構成メンバーとして運営する「泊里地区振興会」が活動してきた。
 歴史をたどると、5つのの部落ごとに“常会長”をトップとする“常会”という組織があり、現在の公民館にあたるものとしては部落ごとに 子どもの遊び場でもあった“常屋“(じょうや)といわれる施設があった。住民はここを中心に活動してきた。
 これが昭和27年、大船渡市の市政スタートとともに末崎町に地区公民館が設置されると同時に“常屋”も地区公民館傘下の地域公民館となったのだという。
 昭和35年のチリ地震大津波で碁石地域は幸いなことに被害は少なかったが、各漁港には防潮堤などが整備されていなかったことから、これを機会に防潮堤の建設促進や道路拡張など地域の環境整備を目的に活動する組織として「泊里振興会」を立ち上げた。この組織が平成17年の碁石コミュニティセンターの開設を機に「泊里地域振興協議会」に名称変更し、3.11の大震災後、復興に向けての重要となる地域からの情報発信、という観点から、泊里をネームバリューのある碁石に変え、「碁石地区振興協議会」に改称、さらに平成23年12月、高台移転、公営住宅建設など復興まちづくりの推進にともない、「碁石地区復興まちづくり協議会」と名称を移行し、ハード、ソフト両面から1,000年に一度の復興まちづくり活動の中心を担っている、ということでした。
 碁石地区では3.11の大震災により300戸のうち約100戸が被害を受け、21名が亡くなられており、また、240名の方が避難所生活を余儀なくされた。協議会では当初、各公民館を避難所としていたが、運営上、碁石公民館一カ所を避難所としたほうが良いと判断。一か所に集約したものの、その後、避難者の増加を受けて碁石公民館、三十刈公民館、碁石地区コミュニティセンターの3カ所に分散、各公民館長が責任者として地域被災者の支援に奔走した。
 昨年6月新聞報道で集団高台移転計画を知ると3か所の避難者に面談調査を実施し、自立再建一戸建ての公営住宅合わせて33名が高台移転を希望していることが判明、市側に対し、地域コミュニティを維持するために建設地を分散しないことと、一戸建公営住宅の建設について要望書を提出。再三にわたる粘り強い交渉を行ってきた。結果、交渉開始から約1年後の今年6月、一戸建公営住宅建設の方向で市の結論が下されている。
 復興のまちづくり計画としては、昨年12月3日に第1回復興まちづくり協議会(仮)を開催以来、去る9月21日には第12回協議会を開催するなどコンスタントに講演会やワークショップなど専門家と住民による活動が行われており、都度、住民300戸に復興のまちづくり協議会ニュースが配布されてきている。
 こうした復興のまちづくり協議会活動には佐藤隆雄氏(盛町出身:大船渡市復興計画策定委員:防災科学技術研究所)を中心に弁護士、司法書士、土地家屋調査士、都市計画、建築士などの専門家が応援団として参画している。
 報告の最後で大和田会長は、“我われはまちづくりにいろいろな構想を持っているが、実現していくための知識や手法に疎い。また、いろいろな制度を運用するには専門家の助言や指導が必要“旨、訴えたほか、行政への要望として“どこかで全国一律的に取り決められたこと、これを正義のごとく振りかざして執行するのではなく、地域にはそれぞれ地域の事情がありますから、行政は地域住民との協働により物事を進めるのが正義だと考えます”旨強調し、報告を結んだ。

参考サイト:碁石地区復興まちづくり協議会

http://ofunato-city.ecom-plat.jp/group.php?gid=10033

(文 丸山 修)

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