H28.2「デジタル公民館まっさき」活動の報告

 平成27年度「学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業」(復興庁・文部科学省委託)として取り組んでいる「デジタル公民館まっさき」2月活動(2月13日―14日)の概要を報告します。

 今回は、27年度の団体活動としては最後の現地活動ということで、このところ参加者の固定化と減少傾向が見受けられた「パソコン・インターネットよろず相談」への参加者数や相談内容がどういうことになるのか。次年度に繋がる内容となるのか。

 気仙に学ぶ!、まっさきに学ぶ!として実施してきた「まちおもいトーク」の〆の語り部としてご協力いただいた滝田医院の滝田有院長は、細浦地区の被災者で、被災後も仮設の診療所で医療活動を続けてきた地域にとってたいへん貴重な存在です。そしてテーマとして取り上げた「地域の医療連携」、「地域包括ケア」はこれからの高齢化社会の普遍的な問題です。この企画が地域のみなさんの心に響くものにできるのかどうか、みなさん話を聞きに来ていただけるかどうか、とても心配でした。

 ・・・・ということで2月活動はまさにこの4年間の「デジタル公民館まっさき」活動の真価が問われた活動でした。いつものように至らぬ点はいろいろありましたが、結果はほぼ目標を達成できたのではないかと考えています。

 パソコン・インターネットよろず相談活動では、受付から運営について、ちょっと新しいことにもトライしました。整理券を配ったり、「エクセル学ぼう!」のコーナを設け、エクセル学習コンテンツ「初心者向け!“しごと”がはかどるExcel(エクセル)活用術」を視聴しながらExcelの活用方法を学びました。参加者からは「Excelって、こんなに便利なんだ!」という感想もいただきました。参加者数の回復、新しい参加者の登場、参加者の目的の明確化も進んでちょっと驚いた次第です。お茶っ子とパソコンによる居場所、だけでなく、生活の一部としてのパソコン活用の課題解決の場として、便利にご活用いただけたのではないでしょうか。

 滝田院長のお話は、地域の方々と活動スタッフだけで聞くのは本当にもったいない、いいお話でした。公民館の学校支援活動ではないですが、地域の子どもたち、中高生たちにも聞かせてあげたいお話でした。この講演の模様は映像収録させていただいていますので映像公開致します。みなさんぜひご視聴ください。

1.参加者

参加者:12名(男性8名/女性4名)

  • ~19歳 0名
  • アソシエイト層(20~34歳)2名(学生1名/社会人1年生1名)
  • リーダー層(35~49歳)4名
  • シニア層(50歳〜64歳)4名
  • 65歳以上 2名

 今回、事務局4名を除く8名のスタッフ募集に対し、自費参加でも良いとする方も含め17名から応募・問合わせがあり、9名の方に失礼させていただきました。
この場を借りてお詫び申し上げます。

内訳円ブラフ

2.活動場所

活動場所:大船渡市末崎地区公民館 (大船渡市末崎町)

宿泊場所:大船渡温泉(岩手県大船渡市大船渡町字丸森29ー1)

3.活動スケジュール

2016年2月13日(土)〜14日(日)

スケジュール表

4.2月13日(土) 活動概要

(1) 気仙に学ぶ! 第4回まちおもいトーク 13:30~15:30

(現地参加者 45名/スタッフ参加者 12名)

 気仙地域の医療関係者と介護・保健福祉関係者が手を携えた医療連携と地域包括ケアの先進的なまちづくりについて学びました。講師は、気仙医師会会長、一般社団法人未来かなえ機構代表理事の滝田医院院長 滝田有(たもつ)先生(55歳)。参加者はスタッフを含め約60名。「医院でぐずぐずしていて逃げ遅れた」という3.11の細浦での被災体験。クモ膜下症とそこからの再起、医院新築と被災など、自分の半生、津波で破壊された医院に代わって4月からスタートしたふるさとセンターでの診療、プレハブによる仮設診療所の開設、自分が14代目という金山澤家の氏神様・松島神社の別当を熊野神社総代会に譲った経緯など、まっさきの方々には、身近で興味深い話題も織り交ぜながら、未来かなえ機構や未来かなえネットの取り組みについて、経緯、趣旨、特長などを話され、熱気に満ちたまちおもいトークとなりました。

 とくに医療連携と地域包括ケアのまちづくりに関し、「一番頼りになるのは家族と近隣。コミュニティが介護力つけるのが最善」とする東京大学高齢社会総合研究機構の秋山弘子特任教授の話を引き合いに、地域住民全員が関心を持ち、全員が参加することの重要性を訥々語る姿に参加者一同、耳を澄まして聞き入りました。滝田代表理事のお話の後、未来かなえ機構の安部白道事務局長による「未来かなえネット」のプロモーションがあり、希望者による登録申請が行われました。

 未来かなえ機構の「かなえ」は、中国・古代に用いられていた3本の足で立つ器「鼎」からきたもので、これまで必ずしも、お互いに仲が良かったわけではなかったり、スムースな協力関係があったわけではない「開業医」「大病院」「薬局」、あるいは「医師・歯科医師・薬剤師」、「医療機関・介護施設・行政」、「陸前高田市・大船渡市・住田町」などの3つの力が、一致協力して地域住民を支える、という姿をシンボリックに表したもの、ということでした。今後、鼎を支え、運営費を負担する関係機関の確保と増加、利用する住民登録者の増加、情報の共有・活用による住民の負荷軽減、医療の効率化、などに加え、市街地から離れた地域での在宅医療の進展や、時間を争う救急車での情報活用等々、全国的にも注視されます。

 まちおもいトークの内容は映像コンテンツを視聴ください。

滝田医院院長 滝田有(たもつ)先生会場の様子
会場の様子会場の様子

(2) 第3回大船渡市「デジタル公民館まっさき」運営協議会 16:00~17:30
場所:末崎地区公民館(ふるさとセンター)2階会議室
(現地参加者 7名/スタッフ参加者8名)

 協議会委員9名の他、活動スタッフ、地元の常連参加者ら11名もオブザーバとして参加、合計20名が出席して行われました。事務局より2月活動時点までの年間の活動実績、会計報告、3月26日に計画している活動報告会・映画上映会の計画案の説明を受け、来年度の活動について意見交換しました。

 「学びを通じた被災地域コミュニティ再生支援事業(復興庁/文部科学省)」としての本活動は、残念ながら今年度で終了となりますが、パソコン・インターネットよろず相談の現地参加者、活動スタッフからは次年度も活動を継続してほしい、という声が寄せられていたことや、本活動で経験を積んで成長した「まっさき竹とんぼ」や「ふれあいキッズデー」グループなど現地側に自主・自律の動きや、地域コミュニティの再生が引き続き課題とされいる平林地区、細浦地区、碁石地区の状況に鑑み、協議会副代表の霞が関ナレッジスクエア久保田代表から「ふるさとセンターのインターネット環境、無線LAN環境の維持継続と交通費、旅費を参加者自己負担とする自前の身の丈活動」を計画したい旨、説明がありました。

 最後に新沼眞作公民館長からは「末崎町も災害公営住宅へ入居される方、地域として受け入れる方、引き続き仮設に留まる方など、厳しい現実が続いています。4月以降は地域の力がますます求められてきます。心の復興はこれからです。」とのメッセージがあり、会議を締めくくりました。

会場の様子

(3) PCネットよろず相談  18:30〜20:00
場所:末崎地区公民館(ふるさとセンター)2階会議室
(現地参加者 12名/スタッフ参加者 12名)

 開始時刻前から多くの方が来場くださいました。10名近くの皆さんが開始時刻には持ってきたPCを立ち上げ、席についてスタッフを待っていらっしゃいました。常連の皆さんに加え、初めて参加の方もいらしてくださいました。一時はスタッフが足りなくなるくらいの大盛況でした。

 今回は初めての試みとして、整理券を配り、お一人お一人の来場目的をうかがって、適切なスタッフを指名する予定でした。開始前から予想を超える来場者であったため、従来の方法で対応しました。いつも以上に、皆さんがお困りごと、目的をもっていらしてくださいました。参加者とスタッフが和やかにおしゃべりを交えながら、ご相談事に取り組みました。また、「エクセル学ぼう!」のコーナを設け、ご相談事の他、エクセル学習コンテンツ「初心者向け!“しごと”がはかどるExcel(エクセル)活用術」を視聴しながらExcelの活用方法を紹介しました。決算書、行事案内書、決算資料などを完成させた方もいらして、「エクセル、すごい!」「エクセルがこんなに役に立つとは知らなかった。」「エクセル、簡単、便利」などの声が上がっていました。いつも以上に、活気に満ちたPCネットよろず相談でした。

エクセルに関心のある方は下記を参照ください。
http://www.massaki.jp/?p=5906

「初心者向け! “しごと”がはかどるExcel(エクセル)活用術」

  • すごいぞExcel(7分57秒 動画)
  • 名簿をつくってみよう(16分48秒 動画)
  • 名簿を編集してみよう(9分55秒 動画)
  • 見積書を作成してみよう(10分55秒 動画)
  • グラフを作成してみよう(9分25秒 動画)
会場の様子
会場の様子
会場の様子

5.2月14日(日)  活動概要


(1) PCネットよろず相談  9:00-12:00
場所:末崎地区公民館(ふるさとセンター)2階会議室
(現地参加者 9名/スタッフ参加者 11名)

(現地参加者 9名/スタッフ参加者 11名)
前日に続いて9名の方に参加いただきました。前日できなかった整理券を用いた受付を行いました。エクセルの学習とともに、参加者のお困りごと、相談ごとに応じて取り組みました。

(2) どこ竹@武蔵野三鷹 まっさき竹とんぼグループ ミーティング 9:00-12:00
場所:末崎地区公民館(ふるさとセンター)2階研修室
(現地参加者7名/スタッフ参加者 1名)

 村上正吉リーダ以下、まっさきの竹とんぼグループのメンバー7名全員が集合。村上リーダより2015年度の年間活動結果報告があり、2016年度活動計画について話し合われました。

(1)夏休みの行事:「夏休み工作教室」
小学校の校長先生にお願いして、今年度は末崎小学校にて、ちらしを配布して頂くことになりました。この地域では年々子どもの減少が続き、一学年一組で30名に満たないとのことです。
(2)ミニ門松づくり
2016年度も昨年同様年末に実施するものとし、コストが嵩む飾り付けの管理の徹底と、飾り付けをオプション化して別料金化する等を検討しました。
(3)新規リーダ認定
現在、1名のリーダ希望者がいるとのことですが、リーダの技術研修はまっさきにて行い、試作機の審査と認定証の発行は、どこ竹武蔵野三鷹にお願いすることになりました。
(4)工作
毎回、定例会に、課題工作をしており、今回は、リーダが予め用意した型紙を切り取って、トンボ、蝶蝶、燕、フクロウなどのバランス細工を制作しました。特にフクロウは頭の面積が広く、重心をとるのが難しそうでしたが、皆さんとても手先が器用です。制作時には私語がなく、集中され、緊張感がありました。
(5)その他
リーダが制作依頼を受けた網張(あばり)を竹で制作して来られ、それをもとにメンバーがその使用法を疑似糸を使って解説していました。また、網張から派生して、遠洋漁業の暮らし振りについて話が弾み、全員で聴き入りました。その後ふるさとセンター一階で開催された「黒マグロの解体ショー」で提供された「鮪の漬丼」を全員で頂きました。まさに船乗りだったという二人のまぐろの評価は「旨い」でした。
どこ竹@武蔵野三鷹 網張(あばり)どこ竹@武蔵野三鷹 型紙を切りますどこ竹@武蔵野三鷹 型紙を切ります

(3) 世界の椿館・碁石 見学 13:30~14:30
(現地参加者1名、スタッフ参加者12名)

 世界の椿館・碁石を見学。「三陸・大船渡第19回つばきまつり」が催されていました。館内に入ると、ほのかに漂うよい香り。世界13カ国550種の色とりどりのツバキを堪能しました。素敵な園内で一休み。椿茶とお菓子をいただきました。椿には香りがないと思っていましたが、こんなに良い香りがするのですね。また、こんなにもいろいろな色の花が咲くとは思いもよりませんでした。良いひと時を過ごすことができました。

世界の椿館・碁石ほのかに漂うよい香り

(4) 碁石地区視察研修会 14:30~16:00
(現地参加者 2名、スタッフ参加者 12名)

 視察研修会のコーディネータは、碁石地区復興まちづくり協議会会長で、デジタル公民館まっさきの企画運営委員でもある大和田東江さんにお引き受けいただきました。折から関東地方、日本海側が春一番に襲われた日でしたので、碁石海岸も快晴でしたが風が強く、とくに高台集団移転地は完成した住宅を風よけにしての視察研修となりました。高台集団移転地、西舘公民館再建計画地、泊里漁港、中里熊野神社の順でご案内いただき、現場にて,下記のご説明をいただきました。

(1)高台移転と住宅再建の概要
 高台移転は避難所生活をしている我々が、平成23年5月、移転先の場所及び宅地造成計画の概要を決定し、6月に開催された市政懇談会で市に提案した。移転先は山林で、地権者が23名おり、我々ですべての地権者にお願いに歩き、内諾を得て市に提出した。開発面積は3万㎡、当初33名が高台移転することで計画したが、最終的には戸建公営住宅6戸を含め22戸に決定した。
 平成27年10月宅地の引渡しを受け、計画提示より4年4ヶ月余りが経過した。当初、33戸で計画したが、結果は22戸となった。宅地造成に時間がかかり過ぎたこと、宅地面積が100坪と、従来所有していた宅地面積より少ないこと、等が原因と考えている。因みに造成された宅地の購入価格、坪単価25,000円。
 住宅建設については、移転する22戸全員による高所移転住宅地建設委員会を組織し、コミュニテイを重視し、地域に配慮した閑静な住宅地を形成、豊かな住宅環境を創造し、守り育てる事を基本理念として建築物等に関する統一ルールを決めた。また、公営住宅を除く自立再建者16戸の内6戸が共同建設組合を組織し、工期の短縮、建設費の軽減、町並み形成の統一等を目的とした設計施工の一切を共同発注している。

碁石地区視察
碁石地区視察

(2)西舘公民館再建計画、被災水田のハス池復興計画
 津波により流失した西舘地域公民館を高台移転と同時着工する共同発注の一員として新築する。建設資金は、行政からの災害補助金1千万円と自己資金による。また、建設する公民館は、災害時の避難所の機能を持つ。
 さらに、建設する公民館前の被災した水田を災害復旧事業により復旧し、平成25年3月、中尊寺より被災地支援として株分けして頂いた古代ハス「中尊寺ハス」を植栽し、「鎮魂のハス池」として整備する。
 公民館とハス池との間にある広場を、ハス池を眺める「憩いの広場」として整備する。

(3)泊里地域の被災前後について
 被災前の泊里地域は、戸数が38戸あったが、津波により37戸が被災、3戸は補修したが残る34戸全てが高台へ、防災集団移転又は自立再建した。この地域は明治及び昭和の津波でも高台移転した人が多く居た地域である。よって、泊里地域は公民館を組織できず解散のやむなきに至った。なお被災跡地は現在「多目的広場」等の整備を計画中である。
 泊里漁港の防潮堤の計画は、高さ12.8m(現況は7.5m)長さ250m、巾50mで計画されている。
 陸から海への出入り口は乗り越え方式(ゲートなし)で、防潮堤西側の端を乗り越え位置としている。完成した場合、全く海が見えなくなり、さらには緊急時の避難に多くの時間を要する計画となっている。現在の計画内容では、緊急時の避難に要する時間に問題があることから防潮堤西側天端から直接西舘城跡への避難路を計画し市へ提案している。

泊里地域
泊里地域

 

(4)熊野神社の式年例大祭
 熊野神社は、鎌倉時代泊里浜に漂着した神仏を祭ったのが神社の始まりと云われている。祭りの際は神輿が海上を巡行する。その際に奉納されるのが各地域にある郷土芸能の虎舞、女性が主体の手踊り、西舘及び碁石地域にのみある七福神が奉納される。
 4年に1度の例大祭が震災の次の年、平成24年10月でしたが、開催するかどうか議論がありました。神社社務所が被災し解体、神輿の海上巡行の基地泊里浜も被災し使用不能、地域住民が祭りを行う機運になるかどうか議論がありましたが、規模を縮小、場所を変えて開催に踏み切った。
 今年10月15日が例大祭期日で開催することは決定したが、内容について現在神社総代会で検討中である。

三面椿の碑

 

活動詳細【KK2
アンケート結果


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