R4館報まっさき 5月号

R4 館報5月
<空飛ぶクルマ>
未来の乗り物と思われてきた「空飛ぶクルマ」の実用化が、いよいよ秒読み段階に入ってきたといわれている。渋滞で混雑する道を避け、空飛ぶクルマで目的地まで一飛びで行く。そんな世界が間もなく現実なものになろうとしているのだ。
慶応義塾大学大学院付属システムデザイン・マネジメント研究所顧問の中野冠先生は、空飛ぶクルマが実用化されると、私たちの社会は大きく変わる。国はすでに政策協議を始めている。国土交通省は、交通ルールや離着陸場の整備規則の検討を始め、経済産業省は新産業の勃興を期待してサポート体制を整えようとしている。企業もバッテリーなどの技術革新に挑み、空飛ぶクルマを使った新事業の検討も始まっている。人々の生活が変わり、便利になる半面、騒音問題などが発生するので、実用化の前に住民の理解を高めておくことが重要だともいっている。
世界の空飛ぶクルマの開発状況は、アメリカ、ドイツ、中国が進んでいる。韓国もアメリカ在住の研究者を呼び戻して開発を進めている。空飛ぶクルマは、無人ドローンとともに軍事技術に近いためアメリカや中国などでは国が援助しているので、技術開発が猛スピードで進んでいる。世界では三百から四百社の企業が開発競争を繰り広げ、すでに多くの企業が試験飛行に成功し、投資家から資金を集めて上場している企業もある。ところが日本は投資家からの資金援助が少なく開発が遅れているという。
日本のベンチャー企業が開発しているのは、諸外国と違って、1~2人乗りの小型のもので離着陸にも場所をとらない小回りのきくものである。2025年に開催される「大阪・関西万博」では、会場内で空飛ぶクルマを飛ばす計画を立てているので体験できるであろう。 続きを読む