H28.5「デジタル公民館まっさき」活動の報告

 平成28年度一般財団法人高度映像情報センター(AVCC)が大船渡市末崎地区公民館と協力して取り組むKK2「デジタル公民館まっさき」5月活動(5月28日‐29日に実施)の概要を報告します。

 今回は静岡県が開発した災害発生直後の避難所運営をカード形式で模擬体験する「避難所運営ゲーム(HUG)」にトライ、現地参加者の手応えをずっしり感ずる活動になりました。

 霞が関ナレッジスクエア(KK2)は2016年度一般財団法人高度映像情報センター(AVCC)の自主事業「人と人の絆と地域の再生」の一環として大船渡市末崎地区公民館にICT環境を引き続き提供し、「デジタル公民館まっさき」活動を継続することとし、その第1回目の団体活動を5月28日(土)-29日(日)に実施しました。都会から末崎に出向く社会人スタッフの方々には、往復交通費など必要経費を自己負担していただき、現地移動費、宿泊費などはKK2の事業費負担としました。休日返上と経費の自己負担という3年前と同様なボランティア活動本来の姿に戻りましたが、参加者が集まるのか心配もありました。結果、社会人7名(うち新規参加2名)、学生1名の8名から参加申し込みがあり、事務局を含め9名での活動になりました。このことは、参加メンバーがまっさきの方々と「共に考え、共に学び、共に担う社会」に向けた活動を楽しみにしてくれているからだと思われますがいかがでしょうか。

 2011年度の復興支援ITボランティア活動時代からの継続である「PC・ネットよろず相談」では、パソコンに詳しいまっさき住民メンバーの一人が相談側に回るなど、都会からやってくるよそ者と地域の方の協働が一歩進みました。

 また、「まっさきに学ぶ!」では、東日本大震災で実際に避難所運営や避難生活を体験された方も参加して、「避難所運営ゲーム(HUG)」を実施させていただきました。みなさん“あのとき”の体験を思い起こしながらゲームに取り組み、避難者の受け入れ、次々に起こる出来事に対応しました。ゲームによる模擬体験ではありますが、熊本地震で起こっている避難所の課題への関心も高く、たいへん臨場感のあるHUG体験会になりました。今回、千葉県や船橋市、西東京市といった都市部で、避難所運営ゲームをツールとして、住民の防災・減災意識の向上や、いざという時の「良き避難者」「良き避難所運営者」の育成に関わっている専門家も参加しての活動でしたが、まっさきの方々のゲームから多くを学び、自分たちの地域の暮らしや職場・勤務地などにも活かせる活動となりました。

1.活動スタッフ参加者

参加者:9名(内訳)

  • ~19歳 0名
  • アソシエイト層(20~34歳) 2名
  • リーダー層(35〜49歳) 1名
  • シニア層(50歳〜64歳) 4名
  • 65歳以上 2名
内訳円グラフ

2.活動場所

活動場所:大船渡市末崎地区公民館
(岩手県大船渡市末崎町字平林81 0192-29-2955)

3.活動スケジュール

2016年5月28日(土)~29日(日)

スケジュール表

4.5月28日(土) 活動概要

(1) PCネットよろず相談  13:30-16:00

場所:末崎地区公民館(ふるさとセンター)2階会議室
(現地参加者 7名/スタッフ参加者 9名)

 参加者が7名と少なかったのですが、4月から新聞発行担当になった方や職場の人事異動でエクセルを使うことになった方の必要に迫られての相談、常連参加者のSNSやエクセル利用が進んだことによる次のステップへの対応などがあり、とても実のある活動になりました。

 以下、主なお困りごと、来場の目的と対応、成果、課題です。

  • Aさん
    • 内容:EXCELによる自動計算とグラフ表示方法の習得。
    • 対応と成果:業務資料作成に生かせる。
  • Bさん
    • 内容:FB内記事の一部を印刷する方法。「筆ぐるめ」住所録の復元。
    • 対応:印刷方法はいくつかの方法を伝える。住所録は消えずに残っていたため、復元。
    • 成果:住所録が消えずに、復元できた。
  • Cさん
    • 内容:写真を印刷すると、余白ができてしまう。FBで自分の記事を投稿する時のみ漢字変換ができない。Wordで表を作成した次のページ(空白)を消したい。
    • 対応:写真は、ペイント内で画像のピクセルサイズをL版サイズに変更する方法を練習。FBは、原因不明のため、コメント欄で記入した内容を投稿欄へコピペして回避する方法を練習。Wordは、最後の1行分残さないと次のページにいってしまって消せないことを伝え、行を1行消す方法と行の幅を狭めて、1行分空白を作る方法を練習しました。
  • Dさん
    • 内容:一太郎で、写真、イラストの新聞への貼り付けを行いたい。
    • 対応:貼付け方法を説明し練習。
    • 成果:貼り付け方法マスター
  • Eさん
    • 内容:写真の整理。
    • 対応:フォルダー新設、フォルダー間移動、重複写真削除などを説明・練習。
    • 成果:自宅で統一感なく保存を続けたため、写真を見つけにくくなっていた事態が改善できた。
PC・ネットよろず相談風景PC・ネットよろず相談風景PC・ネットよろず相談風景
PC・ネットよろず相談風景PC・ネットよろず相談風景PC・ネットよろず相談風景

(2) 地域視察  16:30-18:00

 碁石浜、碁石岬、穴通し磯など景勝地、碁石地区の朝市出店者の梅林、畑などの鹿被害等を視察。


5.5月29日(日)  活動概要


(1) 細浦復興朝市視察 8:00-8:50

 被災地の跡地利用、賑わいの創出に向けて、細浦地区再生協議会が毎月最終日曜日に実施している細浦復興朝市を訪問。主催者テントでは毎回人気のホタテ販売に加え、今回は5月が旬のホヤも並び、急遽つまみサービスも実施。赤崎町鳥沢から毎回出張販売にきている森浩商店(海産物販売)の森 敏弘さんは、熊本へボランティア活動に行ってこられたということで、活動スタッフと熱心に情報交換。被災跡地への常設店舗出店については、話を向けると、それは難しいということでした。

 市場には竹や木工製品、米・雑穀、野菜・山菜・果物・草花等の園芸品、塩蔵わかめ、塩ウニ、こうなごのシラス等の海産物が並んでいました。観光客対象というより細浦地区を中心とした末崎町の方々を対象とした朝市なので地域住民の交流、顔合わせの場として継続する中で跡地利用の具体化、ビジョンやコンセンサスの共有が求められているように感じました。

細浦復興朝市細浦復興朝市細浦復興朝市

(2) PCネットよろず相談  9:00-12:00
場所:末崎地区公民館(ふるさとセンター)2階会議室
(現地参加者 4名/スタッフ参加者7名)

 前日に続くPC・ネットよろず相談には、4名の方に参加いただきました。
主な相談内容と対応は以下の通りです。

  • Fさん
    • 内容:ワードで作成したチラシをFBにアップしたい。研究ノートのようなものを作成したい。毎度カメラで写真を撮ってFacebookにあげるのがたいへんで、なんとかしたい。
    • 対応:ワードをPDFにすると写真のようになり、FBにアップしやすいとお伝えしたほかdocsというweb上で使える無料の専用ソフトウェアを紹介・練習しました。研究ノートは、FBで公開するかどうかを決める場所があるので、設定を「自分だけ(非公開)」にする方法もご紹介。
    • 成果:自由にwordファイルをFBにアップロードできるようになる。
  • Gさん
    • 内容:仕事でタブレット端末での動画撮影を失敗したので、その原因究明と正しいやり方を習得したい。
    • 対応:モード設定~動画撮影スタート~撮影終了~撮影した動画の確認までのプロセスを説明。
    • 成果:実際に本人がやって確認していただいた。
  • Hさん
    • 内容:freeml.comから末崎MAILにくるメールが受信できない件を解決したい。
    • 対応:PC上のメール設定(末崎WEB、MCAFEE)を確認し、問題ないことが判明。
    • 成果:解決できないため、正しくMLにアドレスが登録されていなかった可能性があることを伝え、ML管理者に相談を勧め、確認したところ登録されていて問題解決。
PC・ネットよろず相談

(3) どこ竹@武蔵野三鷹 まっさきグループ ミーティング 9:00-12:00
場所:末崎地区公民館(ふるさとセンター)2階会議室
(現地参加者 22名、スタッフ参加者 9名)

 今回はまっさきグループとして、28年度も引き続きどこ竹@武蔵野三鷹の傘下で活動するか、独立して活動するか、村上正吉代表よりメンバーにはかり、どこ竹との関係は継続ということで落着。続いて、8月7日に実施する「夏休みものづくり教室」で何をつくるか話し合いが行われ、①厚紙による蝶づくり、②使用済み牛乳パックによるエコトンボづくり、③くるみによるひよこ、④竹による虫づくり、④平成竹とんぼ(飛ばしトンボ)づくりと飛ばし競争・・・等を候補に会場となるハネウェル居場所ハウス側と打合せして固めることとされました。

どこ竹ミーティング風景どこ竹ミーティング風景
どこ竹ミーティング風景:厚紙の蝶どこ竹ミーティング風景:くるみ

(4) 避難所運営ゲーム 13:30-16:00
(現地参加者 2名、スタッフ参加者 12名)

 今回、東日本大震災で避難所になった「ふるさとセンター」を会場に実施しました。実際に避難所の運営や避難所生活を体験した人にプレーヤーになっていただきました。どんなゲームになるか、都会で行っているゲームの参考にもしたいということで地域公民館・自治会関係者、婦人団体、中学生等に呼び掛けていただき、公民館・自治会・民生委員8名、交通安全推進・防犯2名、婦人防火クラブ5名、婦人団体・福祉団体4名、行政1名、その他2名にご参加いただきました。ゲームは活動スタッフも加わって、1テーブル5人~6人の5テーブルとし、テーブル毎に司会進行、カード配り、カード読み上げ、記録、発表、質問係などの役割分担や、事前に予想される基本的なことへの対応を決めておく作戦会議を行い、スタートしました。実際に避難所生活を経験した方が約半数おり、なかには避難所の運営リーダーだった方もいて、リアリティあるゲーム体験になりました。

 なお、全体のファシリテータは千葉県や船橋市で避難所運営ゲーム(HUG)を実践している防災士の葛西章広氏(一般財団法人高度映像センター勤務)が務め、HUG開発元の静岡県が行っているゲーム(避難所未体験者向け)を、3.11で避難所生活を体験者している方も参加していることを想定したゲームにアレンジ。下記のスケジュールで実施した。

  • ゲーム概要説明〈10分〉:ゲームの目的と背景、ゲームの進め方
  • 自己紹介と配役(10分):各テーブル簡単な自己紹介と役割の決定
  • 前提条件の説明(5分):ゲームの与件の提示
  • 作戦タイム(10分):各テーブルでゲームの与件を踏まえた作戦
  • ゲーム前半(20分):各テーブル毎にカード読み上げと割り付け
  • 休憩(10分):お手洗い、他のテーブルからの情報収集
  • ゲーム後半(20分):各テーブル毎にカード読み上げと割り付け
  • 振り返り(10分):作戦とゲームを振り返り、発表内容の検討
  • 発表と質疑(20分):各テーブル発表係による発表と質疑
  • まとめ(5分):避難所の役割と地域の取り組み
  • アンケート(5分):各自HUGに関するアンケート

ゲーム終了後の各テーブルの発表と他テーブルからの質問と回答の概要についてはこちらをご参照ください。
「参加者アンケート」「活動スタッフアンケート」はこちらをご覧ください。


H28.5「デジタル公民館まっさき」活動の報告” への2件のコメント

  1. 毎々ご指導をいただきありがとうございます。
    休日返上、経費の自己負担での「デジタル公民館まっさき」活動のご継続は、毎回ご指導を頂いております私にとっては本当に頭が下がります。
    今回も「PCネットよろず相談」では、疑問点が解決できるのは勿論ですが、解決に至るまでの経過、方法も学べて、それが大変うれしいことでした。
    今後とも何卒よろしくお願いいたします。

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