第二回「ごいし民俗誌」勉強会 活動報告

【映像視聴可】
第二回「ごいし民俗誌」勉強会
日  時:9月1日(月) 13:30~16:00
講  師:俵木悟 (成城大学准教授/ごいし民俗誌「祈りー祭り行事と信仰」調査・執筆)
企画協力: 碁石地区復興まちづくり協議会
参 加 者:講師1名/現地参加者10名/スタッフ参加者10名
講  演:震災と民俗学(21分35秒)
古地図を読む(41分58秒) <NEW>

震災と民俗学(21分35秒)



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古地図を読む(41分58秒)



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 2011年度~2013年度の3年間、独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所無形文化遺産部が碁石(ごいし)5地区(旧泊里5部落)を調査し取りまとめた「ごいし民俗誌」を題材に、村の記憶、土地の記憶、海の1年、気仙大工による住まい、祈りと祭りなどのふるさとのあらましをたどり、復興の町づくりを考えた。
 はじめに、俵木先生から「ごいし民俗誌」が制作された経緯を時系列順に説明が行われた。被災や高台移転により、まちの風土・文化・地域コミュニティが変容していくことを危惧して、民俗文化の調査が行われた流れからも、この民俗誌を復興における新しいまちづくりの一助として活用して欲しい旨が述べられた。
 次に、「津波と村」(山口弥一郎氏:昭和18年発行)などを例に、震災や津波等の大災害に関わる民俗学の役割、意味について説明があり、後半では、「ごいし民俗誌」の読み解きとして、泊里地区の熊野神社絵図の解説が行われた。絵図に描かれている内容から、神社と泊里地区の関係、村の祭り、古い地名、また絵図の描かれた時代などまるで謎解きのように次々と解説が行われていく様子に大いに盛り上がった。
 最後に、「ごいし民俗誌」をもとにした今後の民俗調査の取り組みについて参加者との意見交換が行われた。俵木先生からは、すでに書かれている内容に補足するかたちの調査(例えば、旧泊里地区の碁石地区に関してなど)、また、例えば地域の農業など本誌にはまだ書かれていない全く新しいテーマに関する調査、と進め方はそれぞれ考えられるが、焦らず無理の無いかたちで興味を広げていっていただければとの意見だった。


俵木講師コメント
 私の講演は「『ごいし民俗誌』勉強会」というタイトルではあったが、そもそもは私たちが地元の人たちの話しを聞いて、その教えの一端をまとめたに過ぎない冊子が題材であったから、今回の講演は、生徒としての私が先生である地域の人たちの前で行う口頭試問のようなものだと思ってお話しさせていただいた。勉強になったのは明らかに私の方である。幸い、少いながらもその場に来ていただいた地元の人たちからは概ね悪くないという感想をいただけたので、なんとか及第点をもらえたのだろうと思う。ただし、講演の中でも説明したとおり、この冊子は綿密な計画にもとづいてこのような形になったというよりも、様々な出会いや発見に導かれて、いわば成り行きでこうなったものである。『ごいし民俗誌』は完成品ではなく、このような調査を行った、その足跡くらいのものだと思っている。
 その意味で、講演後のディスカッションで、色々と不足(あれが載っていない、というようなこと)を指摘されたのは、むしろ有難いことだった。さらに、これを碁石地区の人びとが自分たちでバージョンアップさせていってくれることをその場で表明してくれたのは、本当に心強いことであった。まだまだ話しを聞いていない人がいるし、聞いていないことがある。地元の人たちが自分たちでそれを掘り起こしてくれれば、そのきっかけになったということだけでもこの冊子を作成した意味が大いにあったと言えるだろう。ただ、あまり無理をされないように。はじめから成果を追わないように、できればお願いしたい。自分たちの過去の生活を聞いたり話したりするのを楽しむ、というスタンスを忘れないでやっていただけたらと思う。
 講演そのものとしては、調査の過程でたいへんお世話になった方々が集まってくれて嬉しかったが、もっと多くの人、例えば私たちが話しを聞かなかった人たちなども参加してくれればよかったと思う。せめて碁石地区内で開催できたらという思いはある。講演の翌日に一人で碁石地区に足を運んだが、そのとき会った何人かの人は、この講演のことを知らない様子であった。こういった活動やその成果を、インターネットとかソーシャルメディアとかいうカタカナ言葉と縁の薄い人たちにどうやって届けるかを、もっと真剣に考えなければいけないと感じた。

・9月20日 記事公開
・10月30日 講演動画「震災と民俗学」追加
・12月17日 講演動画「古地図を読む」追加


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