「デジタル公民館まっさき」第4回「気仙に学ぶ!」活動報告

県立高田病院 石木幹人 前院長 講演会
「生きるを考える 私たちにできること」

当日の様子を収録しました。映像は→【こちら】

ishiki1 岩手県立高田病院、前院長の石木幹人先生による「生きるを考える 私たちにできること」と題する講演会が、「デジタル公民館まっさき」第4回「気仙に学ぶ!」として11月10日大船渡市末崎地区公民館にて行われ、隣接する大田仮設や碁石地区の小中井仮設殻など地域の方々と活動メンバーたちが参加した。

 初めに中学生時代(青森県)に起こったチリ地震津波の体験を話されたあと、日本の医療の現状として、総合的に診る医師が少なくなってきた現状や、医師数が減少し市町村単位では成り立たない問題などを説明。
 次に、院長就任後の病院の役割として、基幹病院たる大船渡病院を支える機能、高齢者に対する医療の充実、介護職との連携、地域健康講演会等を通じた市や住民との連携を掲げた。また、外来の活動として、訪問診療に力を入れ、糖尿病外来など専門外来も増やしていった。そのような先進的な活動もあり、経営改善がなされている最中に、3.11東日本大震災にあった。

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 当初は津波情報が入らなく、3階のナースステーションは安全だと思ったが、押し寄せる津波の高さから危険と判断、屋上へ避難し、翌日ヘリで救出された。あと5秒早く逃げていれば助かったという人もたくさんいただろうし、あと10秒津波が来るのが遅かったら助かった、という人もたくさんいたと思う。5秒10秒が生死を分けた。
 13日に診療を再開し、14日には避難所を回り、その後、地域6か所に救護所を立ち上げ、全国から応援に来た医療チームと分担して診療を開始した。薬やお薬手帳を流された人が多く、一人ひとりに適切な薬を出すための手間に多くの時間が費やされた。その経験からいうと「津波でんでこ」ではあるが、もし間に合ったらお薬手帳を持って逃げて欲しい、とのこと。

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 4月4日の再出発を経て、訪問診療を強化。仮設病院が7月25日には外来が、翌年の2月1日には病棟の運用を開始。震災後に良くなった点として、若い医師の増加や婦人科の復活などを挙げた。その後、住民の講演会も復活。新しい試みとして支援にきている高橋祥医師の提案を受けて「はまらっせん農業」を病院の事業として開始。仮設入居者の高齢者疾患の予防や生きがい作り、住民同士の絆の強化などの効果をあげた。こうした経験から災害時に設置する仮設住宅には集会所と畑をセットで設けることの重要性を強調した。

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 今後の課題として、震災の風化防止のための交流活動や、少子高齢化が進む中、地域の中で介護や心の問題などを解決していく制度を作っていくべきと語った。気仙は、もともと団結が強い地域であることから、宅老所や託児所、畑などを一個所に作り地域住民同士で支えあうような仕組みづくりが必要という。そして気仙のの高齢者医療の取り組みや地域の支えあいの仕組みが、きっと高齢化社会の世界モデルになることを示唆、参加者に生きることの意味を投げかけた。
 質疑応答では、自分たちでどう畑作りを進めていったらよいか、それで様々な問題が解決されるか、畑のおばあちゃんたちのタブレット活用など、具体的で活発なやり取りが交わされた。

(記 上村 貴広 )

*石木先生の講演約76分(パワーポイントの提示資料付)、質疑応答約16分の映像は本サイトよりご視聴ください。また、ご感想ご意見は「デジタル公民館まっさき」フェースブックからお寄せいただいても結構です。

収録映像は→【こちら】
デジタル公民館まっさきFacebookページ: https://www.facebook.com/digitalmassaki

参考サイト
 岩手県立高田病院公式サイト:
   http://www.takata-hp.com/
 岩手県立高田病院フェースブックページ:
   https://www.facebook.com/Hosp.TAKATA
 はまらっせん農園プロジェクトin 陸前高田 フェースブックページ:
   https://www.facebook.com/Hamarassen


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